春図鑑「新学期

日本の場合、新学期は新年度と同様に4月1日から始まる。だが、4月1日は、たいてい春休みの真っただ中で、たいていは4月7日あたりが始業式で、その翌日が入学式となっている。始業式の日の朝は、クラス替えがあって、仲のいい友だちと別のクラスになったり、好きな女の子と同じクラスになって嬉しかったりと、悲喜こもごもの思いだったことだろう。そして、始業式の日の午後は、翌日の入学式の準備で体育館に椅子を並べたり、一年生の教室を掃除したりする。新学期にはまた、転校生が現われるのも楽しみだ。転校生というと、なぜか頭がよさそうに見える気がしなかっただろうか。かわいい女の子が転校してきた……という噂が流れると、休み時間にとなりのクラスの男子がきて、「どの子?」などと廊下が、俄然、騒がしくなる。その反対に、「あれっ! あいつ、いないけど、どうしたんだ?」と、転校してしまったことを誰も知らないやつがいたりすることも……。春は別れと出会いの季節といわれるが、それは大人にかぎったことではなく、小中学生にしても、それなりに「別れと出会い」を経験するのが新学期だ。ご存知のとおり、欧米では9月が新学期の始まりとなっているが、やはり「桜の咲く時期こそ新学期」が日本には似合っているような気がする。
 
 

 

春便り 

 

 
 
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