春図鑑「山菜

芽がぐるぐると渦巻きいているところから名づけられた「ぜんまい」。芽の出たようすが、まるで赤ちゃんの手、つまり「童の手」のように見えることが、その名の由来と伝えられている「わらび」。トゲのあることから「鳥とまらず」の別名をもつ「たらのめ」。「独活の大木」などという言葉もあるが、天ぷらにすると美味しい「うど」。いずれも春の到来を告げる山菜の代表である。大人のなかには、祖父や祖母に連れられて山菜採りに行った経験もあるかもしれない。山道をよく知っている年配者は、山菜のありかを熟知していて、しかも孫を連れていく以上、安全な場所で採っていたはず。もっとも、子どもの味覚からすれば、「どこが美味しいんだろう」と思っていたに違いない。しかし、長じてからは山菜の美味しさがわかり、なかには「山菜で一杯やるのが、いちばん落ち着く」という人もいることだろう。山村の宿に泊まると山菜尽くしのメニューを楽しめることがある。山間の蕎麦屋では山菜そばが名物だったりする。派手さはないが、なんとなくホッとする味わいをもつ山菜。ただし、最近では「山菜を採りに行った老人が山で迷う」といったニュースも伝えられるので、山菜を採りに行く場合は十分に気をつけていただきたい。
 

 

春便り 

 

 
 
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