春図鑑「春のお彼岸

「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるように、冬の寒さが和らぐ頃に春のお彼岸を迎える。国民の多くが農業に従事していた時代に、本格的な農作業を前にして、墓参りをして雪で汚れた墓地を清掃し、先祖の霊をなぐさめ、成仏を祈る法要を営むと同時に、豊作を願った。春分の日をお中日にして、その前後の3日間を合わせた1週間が春のお彼岸だが、その春分の日は、昭和23年に国民の祝日となっている。「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ことが趣旨で、農業国ニッポンらしい祝日といえるだろう。ちなみに、春のお彼岸にお供えし、そして食べるのは「ぼたもち」。よく「おはぎ」と間違えられるが、「牡丹(ぼたん)」の花に由来するため「ぼたもち」と呼ぶ。秋のお彼岸に登場するのが「おはぎ」と呼ばれるのは「萩」の花に由来する。もっとも、昨今は、名のある和菓子屋さんでも「ぼたもち」と「おはぎ」を混同している。ちょっと残念な話だ。
 

 

春便り 

 

 
 
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