春図鑑「ランドセル

日本の小学生のトレードマークといえば、もう「ランドセル」をおいて、ほかにないだろう。入学式の前に、買ってもらったランドセルを、嬉しさのあまり、何度も背負ったり降ろしたりした人もいるはずだ。1年生のときは、身体よりも大きかったようなランドセルも卒業式の頃には、ずいぶん小さく見える。それだけ小学生の成長は速いということだろう。親御さんからすれば、長かったような短かったような6年間だろう。さて、昭和の時代は、男の子は黒、女の子は赤と決まっていたが、多くの新1年生は学校などから配布された黄色いランドセルカバーをつけていて、2年生になってから、ようやく黒や赤のランドセルを背負うことになったものだ。最近は、茶色や紺色といった落ち着いた色のランドセルだけでなく、水色やピンクといったランドセルも見かける。じつは昭和の時代にも、黒・赤以外の色のランドセルはあったが、あまり売行きがよくなかったそうだ。カラフルなランドセルが人気となったのは、平成に入ってからのことらしい。日本で初めてランドセルを使ったのは、のちに大正天皇となる嘉仁親王だったといわれている。伊藤博文が、学習院初等科に通う嘉仁親王に献上したという説である。ランドセルはもともと、軍隊の兵士が使っていたバックパック、つまり背嚢(はいのう)がルーツ。たしかに、荷物を背負ってしまえば両手が自由になるから、なにかと便利だ。
 
 

 

春便り 

 

 
 
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