太平洋上に浮かぶ自然の楽園
小笠原諸島(東京都)
東京から南へ約1000kmの太平洋上に浮かぶのが小笠原諸島は、2011年に世界遺産に登録された。島は4400~4800年前にプレートの変動で生まれ、かつてどの大陸ともつながったことがなく、またどの大陸からも遠く離れた大洋上の孤島で、海洋島と呼ばれる。そのため島の動植物は小笠原諸島だけにしかない固有種が多く、また一つの種が環境に応じて多様に変化する適用拡散の証拠が多いことが認められ、世界遺産の登録となった。つまり島の動植物のほとんどが小笠原独特のものと考えていいくらいである。島外から持ち込まれた一粒の植物の種子によってすら、島の植物の生態系が変わったりするので、注意が必要である。特に重要な区域に入るときには、林野庁や東京都の許可を受けたガイドの同行が義務づけられている。周辺の海ではイルカやクジラを至近距離から見ることができる。また島はアオウミガメの繁殖地でもある。
小笠原諸島は大小30の島からなるが、現在、人が住んでいるのは父島の約2000人、そこから南へ40kmの母島の約500人だけである。島が日本の領土として認識されたのは江戸時代の1670年代で、幕府が船を派遣して島を調査した。1800年代には欧米の捕鯨船が立ち寄り、水や食料を補給したりした。戦争中は日本軍と米軍が激しい戦いを繰り広げた。錆びた大砲なども残っている。戦後は昭和43年までアメリカの占領下にあった。
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