秋の風景「金木犀(きんもくせい) 

 

 9月下旬か10月上旬頃になると路上を歩いていると、どこからともなく微かに甘い香りが漂ってくる。この香りが金木犀。「秋だなぁ」と思う人も多いはず。だが最近の子供は金木犀の香りをかいで、トイレの匂いがすると騒ぐとか。トイレにある芳香剤の香りが金木犀に似せてあり、同じ香りに感じてしまう。だが、本来の金木犀の香りの方が強く、やや甘く感じてしまうはず。オレンジ色の小さい花を無数につける金木犀は、その花もかわいい。香りは花が咲いて短かくて数日から10日。だが雨が降ると花が散るので香りも消えてしまう。静岡県では「県の花」になっていて、茨城県牛久市、千葉県八街市、兵庫県明石市、大分県別府市などでは「市の花」になっている。原産地は中国で、正しくは「丹桂」だが、一般的には「桂花」と呼ばれている。日本には江戸時代に渡来したと伝えられている。香りを活かして、金木犀の花びらを白ワインに漬けて「桂花陳酒」にしたり、お茶に混ぜて「桂花茶」と呼ばれる花茶にしたり、蜜煮にして「桂花醤」と呼ばれる調味料ならぬ香味料に仕立てたりする。