秋の風景「どんぐり」 

 どんぐりと聞いて、童謡の「どんぐりころころ」を思い浮かべる人も少なくないだろう。あるいは、子どもの頃、どんぐり拾いに興じた思い出をもつ人も多いはずだ。まるでベレー帽をかぶったようなどんぐりのかたちはユーモラスで、また、「どんぐり」という言葉の響きだけで懐かしさがあったりする。映画『となりのトトロ』では、チビトトロがドングリを袋からこぼしながら歩いて行き、それをメイが拾いながらを追いかけ、トトロに出会うというシーンがある。「どんぐりの語源はトチグリ(橡栗)」という説がある。トチノキ(橡の木・栃の木)は、高木の落葉樹で、紅色の花が咲き、葉は掌のような形をしている。そして実は球形。ただ、本来、「どんぐり」といえば、クヌギの実のこと。やがてそれが、カシ(樫)やナラ(楢)、あるいはカシワ(柏)などを含めた総称として、どんぐりと呼ばれるようになった。漢字では「団栗」。ひとつひとつの漢字は難しくないが、ふたつ組み合わさると、ちょっと読みにくい? ちなみに、童謡「どんぐりころころ」の歌い出しが「どんぐりころころ、どん『ぐ』りこ」と思っている人が意外に多いが、正しくは「どんぐりころころ、どん『ぶ』りこ」である