冬図鑑「クリスマスケーキ」
日本人は宗教に寛容で、12月24日ともなれば「1億総クリスチャン」である。そしてまた、間違いなく「一年のうち、もっともケーキが売れる日」だろう。昭和の時代にしても、ケーキが庶民にとって高嶺の花というわけでもなかったが、やはり特別な存在であることに違いはなく、クリスマスか誕生日しか食べることはなかったはずだ。いまでこそチョコレートケーキあり、ノエルありと、バラエティ豊かなクリスマスケーキだが、当時はクリームが生クリームかバタークリームかは別として、たいていは白いクリームに包まれたケーキだった。丸いケーキの上には、真っ赤なイチゴがのっていて、「Merry Ⅹ`mas」と書かれたチョコレートのプレートが鎮座ましましていた。バースデーケーキでは年齢と同じ本数のロウソクが立てられるが、その代わりに煙突のある家や、サンタクロースのかたちをした砂糖菓子ものっていたものだ。ひところ「女性はクリスマスケーキ、男性は年越しそば」などと言われたことがあった。結婚する年齢のことをいったもので、女性はクリスマスケーキが売れるピークの12月24日になぞらえて「24歳までが売れどき」だが25日(25歳)を過ぎると「売れ残り」で、男性は年越しそばを食べる12月31日になぞらえて31歳までが「いい頃合い」で、それを過ぎると価値が落ちるというもの。晩婚化が進んだ現在では、およそ時代遅れの話だが、そんな言葉もあったということだ。
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